㈱琉球光和・新人インタビュー

「患者満足度向上の為の取り組みをどのようにしているか?」
また、当院の経営理念がしっかりしているという事で、
取引先である㈱琉球光和の今年入社した新人教育の為、院長がインタビューを受けました。

Q. 経営理念に「お母さんの幸せそれは家族の幸せ」を掲げ、グッドデザイン賞も受賞している院内は、様々な工夫によりいい意味で期待を裏切る沢山の感動がちりばめられています。お母さんの幸せを第一に考えるという点で、院長がこの様な病院を作りたいと思った原点をお聞かせ下さい。
A. 私は二十歳で母を亡くしました。一か月前に大喧嘩し、口をきいていなかったある日、母が交通事故にあったという確認の電話がはいりました。自分の負い目や哀しい想い、そこが原点。「お母さんの幸せ それは家族の幸せ」ってすごく当たり前のようで簡単かもしれないけれど、自身の経験を踏まえて、お母さんが幸せであれば、世の中とりあえず上手くいくだろう―、開業する際にシンプルに思いついた言葉なんです。皆、お母さんから生まれる。だから、お母さんが幸せでいてくれれば、子供にもその幸せは伝わるし、そうすれば家族も円満で行くだろうと思っています。
 私は産科だけで終わるつもりは一切ありません。実際、沖縄には離婚率の高さや様々な現状もあり、お母さんの生活からサポートしたいという想いがあります。今ようやく託児を始めましたが、いずれは病児保育、働くお母さんが子供を預けやすい施設を準備しています。この施設から幸せを広げ、それがきちんとリンクしていけば、沖縄の皆が幸せになっていくと考えているんです。だから、まずはここで産んでくれた人、その赤ちゃん、そしてここで働く人皆が元気でいて欲しい。その人たちの家族背景や、もし上手くいっていなかったらサポートしてあげられる、そんな場所でありたいと思います。
Q. (院長のお話をふまえ)一歳までの定期検診を終えた後、お母さんの子育て、特に初めての方は不安でメンタル的にも崩壊してしまう方が多いと思いますが、その様な方のフォローもされていますか?
A. 子育てが初めての人は、ちょっとしたことでも何かまずいのではないかと思うでしょ?それが神経をすり減らしている状態なので、今、産後院について考えています。今は入院部屋を使用して、子育てで手いっぱいのお母さんには、ここで休んで帰りなさい、と伝えています。一泊して寝るだけで変わりますからね。ここでは産後2週間後に外来にて産後うつ病に関するアンケートを行っています。その結果注意が必要な方にはカウンセリングの上、泊まってもらったり、赤ちゃんをこちらで一日預かり、自宅でゆっくり寝てもらう環境を整えるようにしています。開業から一年以上たちますが、今の所産後うつを発症した人はいません。一歳までは産婦人科医として見ますが、やはり一番は、後に「先生大きくなったよ!」と子供を連れてきてくれるのが楽しみです。お母さんがいつでも帰ってきやすい環境をつくる。キッズスペースがあるのもその一つで、少し子育てで疲れた際は、保育士に預けて私と話をしたり。そうすることで気が楽になる方たちもいるんですよ。
Q. 現実問題、出産・子育てとなると金銭的にも出費が増えますが、その点において、どの様にお考えですか?
A. 会計時にカード支払が出来る様にしているのは勿論ですが、一番は、子供を産み家族計画を立てる際、経済的側面を勉強していないと現実問題が差し迫ってくるということ。やはり、甘い考えの方がいるというのも正直なところです。例えば検診に来てエコー代の自費が出た際、2000円の支払いは次でいいですか?と。もし今の2000円払えなかった時に、子育てにかかるおむつ代等、どうするのだろうと思います。人任せではいけない。子供が出来ることに対しての意識づけが必要だと考えています。今、ファイナンシャルプランナーにお願いをして、私自身若い時にあまり分からなかった家計簿のやりくりをアドバイスしてもらえる場を、皆さんに提供したいと考えています。まだ準備段階ですが、そこから家計を見直してもらって、生命保険も含め、知識として身につけてもらいたい。それも一つの教育だと思っていますし、もっと広めていきたいと思います。現実問題、子育ては大変ですからね。
Q. こだわりに溢れた施設内ですが、妊婦さんに対しての配慮など、ここは気にしているといった点はありますか?
A. まずは、椅子。リクライニングです。妊婦さんはお腹が大きいでしょう?検診の時に足を乗っける足台をつけてあげるだけでも随分と楽になる。腰痛が来ますからね。だからその腰痛を座っている間だけでも緩和出来る様な椅子を使っています。もう一つはプロジェクター投影。通常エコーがあったら、医者が見ている所を横から見るわけですが、リラックスしてみて頂ける様に、プロジェクターに投影しています。あとは各部署すべて録画をできるようにしています。分娩室にも水槽を入れているのですが、使いやすいというよりはどうリラックスできるか、が重要。だから施設内には木を多用しています。とりわけ二階の外来はほとんど木を使い、天井も他の階よりずっと高くしています。待ち時間が長くなった時に、少しでもリラックスして過ごしてもらえるためにはどうしたらいいか、考えた結果です。
 外には足湯がありますが、あれは冷えの改善が一つの目的。不妊症の治療において、一年半で49名程妊娠したのですが、体外受精をやらずタイミング法だけでこの結果が出るのは、相当上手くいっていると思います。この人数はとても嬉しい。沖縄は不妊症の原因にもなる冷え性の方が多いのですが、そういった意味で足湯も取り入れています。
 新生児室も面白い造りですよ?大中小の窓がありますが、あれは子供たちが兄弟を探すときに、僕の兄弟はどこかな?って。そういう風にして欲しいと建築家に作ってもらったこだわりの場所。沢山ありますね。
Q. 不妊治療のお話も出ましたが、妊娠されている方と不妊治療をされている方も一緒の空間にいる…その点の配慮はどのようにしていらっしゃいますか?
A. 不妊症専門の病院だと、不妊症のエリアで分けるのですが、そうすると、ものすごく無表情になってしまう。だから私はあえてそうしません。心苦しいかもしれないけど、キッズスペースで子供が遊んでいるのを見る―。不妊のお母さんたちもそれを逆に励みにしてほしい。不妊症エリアを作るにしても病院によっては入口自体を変えているところもある。可哀想など、考え方はいろいろあると思います。けれど、不妊症は罪でも何でもない。正直賭けでもありましたが、敢えて逆説的なやり方をとりました。
Q. 職員教育など、ソフト面で配慮されている点はありますか?
A. 患者優先の徹底です。例えば、内診台が上がり診察が終わる。その後もう一度話をする時、患者さんはやはり恥ずかしくて目を合わさなくなります。私は産婦人科医だからなんとも思わないのですが、やはり患者さんには羞恥心がありますよね。それをどの様にして取ろうとしているかというと、私たちの施設では、看護師を傍に立たせるんです。そばに誰かいるだけで安心するでしょう?でも、そのようにしている病院はない。要は、全部医者側の後ろについて医者の介助をしているんです。薬やエコーの介助をする看護師はいても、患者さんの側に立ってるところはないと思います。これも私なりのこだわりです。
そういうところを細かいところを突き詰めてやっていくと、例えば、診察終了後、患者さんは内診台でずっと足を広げていますよね。もし、私が終わったよ、と言っているのに、看護師が「薬はどうしますか?次はいつにしますか?」と聞いてきたら、私はその看護師に向かって怒ります。患者を先におろしなさい、とね。足を広げたまま、診察が終わっているのに私と看護師の会話が聞こえてきたら、どんな思いがするか。分かりますよね。そういった細やかな接遇を含めた教育をして、それを理解した人たちが残ってくれると思います。そして、その人たちが後輩を指導していく。それが今の教育です。
Q. 沢山の想いをお聞かせいただき、ありがとうございました。最後に、これからの展望についてお聞かせ下さい。
A. 今、私のところも妊婦が職員で4~5人いるけど、幸いみんなここで産むと言ってくれています。実際は、知っている顔を見て、女性の立場ならやっぱり恥ずかしい。それでも私にお産を任せたいと言ってくれるということは、私の誇りです。職員に信頼されているということはやってきたことは間違っていない―。そういう思いですね。
町医者になったのはもう一回患者さんと対等な立場で、昔の赤ひげ先生じゃないけれど、先生ちょっと疲れたよ、なんとかしてくれよ、と相談して、うん、こうしようよって。そういう風に気軽に言える患者さんとの仲でありたいと思っています。